ふるさと納税、10月から何が変わる?
「9月30日までに寄付しないと損」という投稿を、ここ数日よく見かけます。先に答えを書くと、寄付する側の控除のしくみは何も変わりません。変わるのは、自治体が寄付集めに使えるお金の上限と、返礼品として認められる基準のほうです。
総務省が公表している法律の条文と通知を読んで、寄付する側に関係するところだけを整理しました。
結論:寄付する側のルールはほぼそのまま
変更点① 募集費用の上限が毎年10月に下がる
もとになっているのは、2026年3月31日に公布された「地方税法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第2号)です。
自治体が1年間(10月1日〜翌年9月30日の「指定対象期間」)に受け取った寄付から募集費用を差し引いた残りを「寄附金活用可能額」と呼びます。この額が寄付総額の一定の割合を下回らないことが、ふるさと納税の対象に指定される条件に加わりました。本来の割合は60%で、最初の3年間だけは経過措置として段階的に引き上げます。
| 指定対象期間 | 残すべき割合 | 募集費用の上限 |
|---|---|---|
| 〜2026/9/30 | — | 50%(旧告示) |
| 2026/10/1〜2027/9/30 | 52.5%以上 | 47.5% |
| 2027/10/1〜2028/9/30 | 55%以上 | 45% |
| 2028/10/1〜2029/9/30 | 57.5%以上 | 42.5% |
| 2029/10/1〜 | 60%以上 | 40% |
※ 法律に書かれているのは真ん中の「残すべき割合」です。右の列は100%から差し引いて出しました。出典:総務省「ふるさと納税制度の適正な運用について」(2026年4月1日 総税市第34号)に添付の法律条文。
「募集費用」に入るもの
返礼品の調達費(1品ごとに寄付額の3割以下というルールは従来どおり)、送料、広告費、クレジットカードなどの決済手数料、そして事務費。事務費には、ポータルサイトへの委託料や手数料、ワンストップ特例の申請書の処理なども入ります。今回の上限は、これを全部足した額にかかります。
全国平均は、すでに新しい上限を超えている
総務省が2026年7月31日に公表した現況調査によると、2025年度の受入額は全国で約1兆3,314億円。そのうち募集にかかった費用は6,382億円で、割合にすると47.9%でした。平均の時点で、10月からの47.5%を0.4ポイント上回っています。
※ 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」より作成。実線が2026年10月からの47.5%、点線が2029年10月からの40%。
同じ調査では、ポータルサイト経由の寄付が全体の97.2%。ポータル運営事業者への支払いは、ポータル経由の寄付額の18.8%(返礼品の調達費と送料の立替分を除くと11.5%)にのぼります。総務省は4月1日の通知で、自治体に「ポータルサイト事業者など外部の事業者に支払う手数料等を見直す」よう求めました。
変更点② 地場産品の基準がはっきりする
こちらは2025年6月24日に総務省が告示を改正したもので、2026年10月からの指定に適用されます。柱は3つです。
あわせて、1つの支払先に100万円以上払った募集費用は、支払先・金額・目的を公表することになりました(2025年度分は2026年9月30日までに公表)。
影響を受けそうなジャンル
ふるさとチョイスは「制度改正に伴い掲載終了などが予測されるカテゴリ」として、次の18ジャンルを挙げています。
美容・健康家電、化粧水・乳液、その他美容、健康食品、空調・季節家電、パソコン・周辺機器、時計、家具、寝具、ファッション、釣り具、ウイスキー、ワイン、おせち、牛タン、羊肉、鮭・サーモン、チョコレート
3つの柱から考えると、原料を区域外や海外から仕入れて地元では加工・包装だけしている品や、自治体名を入れただけの品が見直されやすいはずです(筆者の見立て)。ふるなびも、新基準への切り替えのため9月末を待たずに受付を終えた返礼品があると案内しています。
寄付する側から見て、変わること・変わらないこと
9月30日までに寄付したほうがいい人、急がなくていい人
- 急いだほうがいい人:お気に入りやカートに、狙っている返礼品が入っている人。いまの寄付額・内容で申し込めるのは9月30日までで、すでに受付を終えた品もあります。
- 急がなくていい人:「今年はまだ寄付していない」というだけの人。控除のしくみは変わらないので、年末までに上限の範囲で寄付すれば十分です。
今日のうちに寄付するなら、この順番で進めると迷いません。
- 控除上限を先に確認する――上限を超えた分は、ただの寄付になります。考え方は ふるさと納税完全ガイド にまとめています。
- お気に入りとカートを見直す――10月以降に掲載終了や寄付額の変更がありうる、と各ポータルが案内しています。
- 支払いまでその場で終わらせる――クレジットカードやPayPayなど、すぐ決済が終わる方法で。ふるさとチョイスもふるなびも、9月30日の混雑を予告しています。
- 狙いの品が終わっていたら――同じ地域の似た返礼品を探せば十分です。駆け込みで上限を超えないようにだけ気をつけてください。
ポイントがなくなった今、差がつくのは支払い方法
ポータルのポイントがなくなってから、サイトごとに差が出るのは支払い方法くらいです。いまいちばんわかりやすいのが、Yahoo!ふるさと納税をYahoo!ショッピング商品券で払う方法。2026年7月1日のYahoo!ふるさと納税ガイドライン改定で、支払い方法に商品券が加わりました。
2万円分を買うと、受け取り時に21,200円分になります。Yahoo!ふるさと納税の支払いに使えば、2万円で21,200円分の寄付ができる計算です(控除上限の範囲で使う前提)。
※ このボックスのボタンはアフィリエイトリンク(PR)です。条件はYahoo!ショッピングの公式ページで確認してください。
気をつけたいのは2点です。まず、商品券は買ったあと注文履歴の詳細から「受け取り」をしないと使えません。増量分もこのときに付きます。放っておくと30日で元本ごと失効します。
もうひとつ、2026年7月から、商品券で払った分はYahoo!ショッピングの各種キャンペーンでポイント付与の対象外になりました。もともとポイントの付かないふるさと納税は、使い道としてちょうどいいわけです。買い方の細かい手順は Yahoo!ショッピング商品券の増量ガイド にまとめました。
PayPayをまだ使っていない方は、下の招待コードから登録すると特典がもらえます。支払い条件のPayPay残高も、そのまま用意できます。
ほかのサイトを選ぶなら
見るところは3つです。欲しい返礼品が載っているか、ふだん使う支払い方法が使えるか、その支払い方法に独自の還元キャンペーンがあるか。クレジットカードの通常ポイントはこれまでどおり付くので、還元率がいちばん高いカードで払うのが手堅い方法です。
よくある質問
- Q. 10月1日以降に寄付すると、控除は減りますか?
- 減りません。自己負担2,000円、控除上限の考え方、ワンストップ特例はそのままです。12月31日までに上限の範囲で寄付すれば、これまでどおり控除されます。
- Q. 「返礼品に使える経費が50%から47.5%に下がる」は本当ですか?
- 半分だけ正しい言い方です。上限がかかるのは、返礼品・送料・ポータルの手数料・決済手数料・事務費を合わせた募集費用の合計です。2026年10月から47.5%、その後は毎年10月に2.5ポイントずつ下がり、2029年10月からは40%になります。返礼品そのものの「寄付額の3割以下」は変わっていません。
- Q. すべての返礼品が値上げや減量になりますか?
- なりません。各ポータルの案内は「一部の返礼品で掲載終了や寄付額・内容の変更がありうる」というものです。区域外や海外の原料を使い、地元では加工だけしている品や、家電・美容・お酒などのジャンルは影響を受けやすいとされています。
- Q. すでに寄付して、まだ届いていない返礼品はどうなりますか?
- 影響はありません。楽天ふるさと納税は「過去の寄付には、一切影響ありません」と案内しており、改正の対象は2026年10月1日以降の寄付です。
- Q. ポータルサイトのポイントはもらえますか?
- もらえません。寄付に伴うポータルサイトのポイント付与は、2025年10月1日から禁止されています。クレジットカードなど、支払い方法そのものに付くポイントは禁止の対象外なので、これまでどおりもらえます。
- Q. Yahoo!ショッピング商品券は、どのふるさと納税ストアでも使えますか?
- 使えません。使えるのはYahoo!ふるさと納税です。Yahoo!ショッピング内の「ふるなび」「ふるさとチョイス」「さとふる」のストアは、公式の利用対象外ストアに入っています。
- Q. 2029年より先も上限は下がりますか?
- いまの法律では、2029年10月1日以降は本来の割合である60%が適用され、募集費用の上限は40%です。その先は、今後の税制改正しだいです。
出典
- 総務省「ふるさと納税制度の適正な運用について」(2026年4月1日 総税市第34号・地方税法等改正法の抄を添付)
- 総務省「ふるさと納税制度の適正な運用について」(2026年9月25日 総税市第108号)
- 総務省 報道資料「ふるさと納税の指定基準の見直し等」(2025年6月24日)
- 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」(2026年7月31日)
- ふるさとチョイス「2026年10月の制度変更に伴うお礼の品への影響と再確認のお願い」
- ふるなび「2026年10月1日(木)以降のふるさと納税制度変更に伴う、返礼品への影響に関する重要なお知らせ」
- 楽天ふるさと納税「2026年10月からの制度改正に関するご案内」
- Yahoo!ショッピング「『Yahoo!ふるさと納税ガイドライン』の変更について」/商品券の増量条件:Yahoo!ショッピング「商品券のご紹介」(2026年9月30日に確認)
※ 公表資料をもとにした個人のまとめです。「筆者の見立て」とした部分は個人の見解で、税務上の助言ではありません。返礼品ごとの変更は、各ポータル・自治体のページで確認してください。